収入や支出を考えるときには、手取りや税込で考えた方が適切では(というかそうしないと危ういのでは...)と以前から思っていました。
支出は税込で意識することも多い一方、年収をはじめとする収入は額面の数字がベースになっている印象です。
FPの勉強中に「可処分所得」という言葉が出てきました。ご存じの方は多いと思いますが、いわゆる手取りのことで「収入から税金や社会保険料を引いた自由に使えるお金」を指します。
資産運用でも同じように考えた方が良いのではと思い、「可処分資産」という言葉があるかなと検索してもあまりヒットしません。「税引後資産」も話題にしている人はいましたがほとんど出てきません。
何か理由があるかもしれませんが、個人的には気になるので自身の資産管理では今後扱うようにしようと考えました。
可処分資産の定義
可処分所得の定義を資産にあてはめて考えていきます(左:可処分所得、右:可処分資産)。
資産になると相続の話も出てきますが、ここでは考えずにその時点の資産(の利益)に対して係る税金や社会保険を考えます。
可処分資産で考えると
シンプルな例としてオルカンなどの投信のみを資産として保有していると仮定し、課税率は20%で保険料は除外した場合を例にします。
資産が1億円あり、含み益が2,000万円と4,000万円の2通りの場合を考えると、同じ資産でも可処分資産は400万円の差が出ます。
| 資産額 | 含み益 | 課税額 | 可処分資産 |
|---|---|---|---|
| 1億 | 2,000万 | 400万 | 9,600万 |
| 1億 | 4,000万 | 800万 | 9,200万 |
次に1ヶ月後に500万円マイナスとなり資産額が9,500万円となったとします。どちらも可処分資産は400万円のマイナスとなります。
| 資産額 | 含み益 | 課税額 | 可処分資産 |
|---|---|---|---|
| 9,500万 | 1,500万 | 300万 | 9,200万 |
| 9,500万 | 3,500万 | 700万 | 8,800万 |
資産のマイナスによって課税額も減るため損失時に感じるダメージも少しは浅くなる...と思いましたがどうでしょう。
簿記の繰延税金を参考に
簿記を勉強していて、有価証券の分類によって決算期に異なる扱いをしていることを知りました。
「売買目的有価証券」は決算のタイミングで時価に評価替えをしてその期の課税額に反映されます。
短期売買でない場合は「その他有価証券」の扱いとなります。「その他有価証券」は決算のタイミングで時価に評価替えをしますが、その利益または損失に掛かる税金は「繰延税金負債」または「繰延税金資産」の勘定科目を使って資産や負債とみなします。その状態で貸借対照表(バランスシート)を作成して、翌期首に元に戻す処理をします。
この考え方にならい、個人の資産を把握する際にも評価額の含み益に対して「繰延税金負債」や「保険料」を計算して差し引いた後の資産を把握することを考えます。
可処分資産はいいかえると「現在の全資産を今売却すると、税金や社会保険で天引きされた後のお金はどれだけ残るか」を把握することになります。
実際には損失との通算や長期の分割取り崩し等によって課税額は軽減できますので、ここで算出した値は資産としての最悪値とみなせます。
可処分資産に含める資産・税金・保険
あらためて考えると、そもそもどこまでを資産とみなすのか人によって見解も異なる部分もあり迷いが出てきましたが、原則として金融資産を対象とすることにしました。
家計[2]においては、「現金・預金[注釈 1]、株式・出資金、株式以外の国債や投資信託などの証券[注釈 2]、金融派生商品、保険準備金・年金準備金[注釈 3]、ゴルフ場への預託金などの預け金等[注釈 4]、対外証券投資を含む対外債権等[注釈 5]」である。
iDeCoは60歳まで引き出せないため判断が分かれそうですが、課税計算も難しくなるため可処分所得には含めずに別扱いにします。
私は高額な実物資産を特に所有していないため考える必要がないのですが、換金可能で課税計算もできる場合は実物資産も含めて考えても良いと思います(例えば金地金など)。
可処分資産を考える際の負債部分は利益に係る場合を考えることとし、所得で変動する国民健康保険は含めて固定額である国民年金保険は除外することにしました。
所得分類別の計算
金融商品は様々あり所得の種類によって課税方法が異なります。私が実際に扱っている商品を中心に、どのように計算をするかまとめます。
| 商品分類 | 所得分類 | 課税方法 | 含み益の扱い |
|---|---|---|---|
| 債券 投資信託 株式 (特定口座) | 譲渡所得 | 申告分離課税 | 一律20.315%(保険料は考慮不要) |
| FX 先物 オプション取引 | 雑所得 | 申告分離課税 | 一律20.315%(保険料の算定対象) |
| 暗号資産 外貨預金(為替) | 雑所得 | 総合課税 | 所得税は累進課税(保険料の算定対象) |
| 純金積立 | 譲渡所得 | 総合課税 | 所得税は累進課税(保険料の算定対象) |
NISA口座は含み益に課税が発生しないため考慮しません。また、いわゆる評価額の含み益のみに対して考えるため、配当所得、利子所得も考慮しません。
表は2026年時点の制度に基づいて書いていますが、暗号資産は2028年に申告分離課税の扱いになる見込みです。また、医療保険制度改正法の適用が拡大すると、特定口座も保険料の算定に含まれる可能性があります。
計算の際に厄介なのは総合課税に分類される所得です。給与所得などの他の所得がどれだけあるか、所得控除はどれだけ使えるかで課税計算が変わってきて計算は面倒そうです。
保険料はほとんどの控除が適用できない分シンプルですが自治体によって料率が異なります。以前作った試算ページは東京23区ベースの料率をデフォルトにしていますが、個別に料率を入力すれば他の自治体の保険料も計算は可能です。
おわりに
以前から気になっていた資産の計算方法について整理してみました。
まだ判断に悩む箇所があり今後変更するかもしれませんが、自身の資産確認情報については可処分資産(iDeCoは別枠)も確認していきたいと思っています。
私は資産管理のアプリやサービスを使っていないのですが、AIに聞いた限りではメジャーなものでも税引計算や可処分資産に相当する値を扱っていないようです。マネーリテラシーの向上につながると思うのですが、ぜひ対応して欲しいものです。
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