前回、新窓販国債のことを調べてある程度まとめましたが、その過程でまた疑問が出てきてもう少し深掘りしました。細かいですが債券を資産ポートフォリオに含めている方、含めようとしている方の参考になるかもしれません。
新窓販の応募者利回り(税引き後)の値は注意
前回は、新窓販国債の第383回債(7月)の10年満期(以下)を例にして応募者利回りを計算しました。
- 表面利率:2.7%(税引き後:2.151495%)
- 応募者利回り:2.678%(税引き後:2.130%)
- 募集価格:100円17銭
この時、表面利率と募集価格の値から応募者利回りの2.678%は算出できましたが、税引き後の値2.130%が自分の想定と異なっていました。そのため前回は税引き前の値の比較に留めていました。
税引き後の数字は、所得税・復興特別所得税・住民税の税率合計の20.315%を引いた、79.685%を税引き前の利率に対して掛ければよいと思いましたが、応募者利回りの場合はそうなりません。
表面利率は計算通り79.685%を掛けて2.151495%が算出できます。
- 2.7% * 0.79685 = 2.151495%
応募者利回りは税引き後は2.130%と書いてありますが、同様に計算しても2.1339643%となり約0.004%ずれます。
- 2.678% * 0.79685 = 2.1339643%
調べた結果、財務省のページに掲載されている応募者利回りの税引き後の値は、償還差損益分を含めず利子のみで課税計算していたためでした。
利子のみ課税計算
例えば額面100万円分を購入して満期まで10年保有した場合で考えると、1,001,700円の投資で1,270,000円となり利益は268,300円です(内訳は利子+270,000と償還差損-1,700)。
利子270,000に対する税引き後の金額は以下の通りです。
- 270,000 * 0.79685 = 215,149.5
この金額にそのまま償還差損1,700円を反映させて1年あたりの利回りを出すと、公表値の2.130%になります。
- (215149.5 - 1,700) / 1,001,700 / 10年 = 2.1308725%
小数第4位を四捨五入するとずれるため正確に計算できていない要素がありそうですが...少なくとも上記のように利子のみに対して課税計算し、償還差損益を加味して利回りを出していることになります。
利子と償還差損益を通算して課税計算
本来は利子と償還差益の損益通算は可能なため、損益通算後の利益268,300円に対する課税が適切なはずです(参考:国債の利子等に関する課税はどうなっていますか)。
- 268,300 * 0.79685 = 213794.855
- 213794.855 / 1,001,700 / 10年 = 2.1343202...%
こちらも冒頭に書いた2.1339643%と小数第4位のレベルでずれていて、元の2.678%の小数第4位以降の値も関係してきそうですが、今回はここで止めておきます。
償還差益を含めない計算で税引き後の値を採用している理由を調べてみましたが、個々人の資産運用状況に応じて最終的な税負担が異なるためのようです。
証券会社の特定口座を通して買っていれば申告分離課税の20.315%になり損益通算されますので、実際の受け取り額で考えると財務省のページに記載公表値とは以下のようにずれます。
- 募集価格が100円超の場合は償還差損が出るため、記載値よりも実際の利回りは上回る
- 募集価格が100円未満の場合は償還差益が出るため、記載値よりも実際の利回りは下回る
実際の値を求める時は応募者利回りの数値に0.79685を掛ける、ことになります。
わずかな差で誤差の範疇とも言えますが、実際には税引き後の金額しか受け取れませんし、特に他と比較する際には本来の値が算出できるようにしておくべきだと思います。
新窓販・個人向け国債の金利設定
もう1点は新窓販や個人向け国債に適用される金利についてです。
2026年7月を例にすると、新窓販国債10年の表面利率は2.7%、個人向け国債10年は1.80%となっています。
個人向け国債10年は変動型ですが、金利設定方法は基準金利*0.66です。
なんとなく新窓販の表面利率が基準金利なのだろうと思い込んでいましたが、実際に0.66を掛けても一致しません。
- 2.7% * 0.66 = 1.782%
調べてみると、基準金利については個人向け国債のページで説明がありました。
※2 基準金利は、利子計算期間開始日の前月までの最後に行われた10年固定利付国債の入札(初回利子については募集期間開始日までの最後に行われた入札)における平均落札利回り。
この平均落札利回りの情報は財務省のサイトで公開されていました。以下が2026年7月の10年利付国債(第383回)の入札結果です。
3. 表面利率 年2.7パーセント
...
6. 価格競争入札について
(5)募入平均価格 99円77銭
(募入平均利回り) (2.729%)
...
(参考)個人向け国債(変動10年)の基準金利となる複利
利回り 2.73%
個人向け国債の基準金利の決定などを遡ると、以下の流れになります。
- 財務省が表面利率を設定し国債を売り出す(国債入札)
- 金融機関などの応札者が購入価格を希望して申し込む
- その価格によって表面利率に対する調整利回り(募入平均利回り)が決まる
- 個人向け国債の基準金利となる複利が決まる
この数値が個人向け国債の基準金利となり、2026年7月第383回の利回り2.73%に0.66を掛けると確かに1.80となります。
- 2.73 * 0.66 = 1.8018%
※ 小数第3位以降の数値が気になりますが、入札結果のところに複利と書いてありますし、個人向け国債は単利ですのでその調整なども入ってそうです
なお、新窓販では募集価格が100円17銭でしたが、上記の募入平均価格の99円77銭と異なります。この差は財務省が新窓販の販売時に調整して算出しているということのようです。
財務省の入札カレンダーは以下にありますが、次回の10年利付国債は8/4(火)です。
債券は安全資産の運用向けの理解ですが、このような微調整分も加味すると、買う時期の判断やどの債券を選ぶかの判断にも役立つのではと思います。
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