知っている人には今さらな話だと思いますが、FP2級の過去問を解いているときに「新窓販国債」のことが出てきて初めて存在を知りました。
個人向け国債との違いや、どんな時に活用できるか検討した結果をまとめています。
新窓販国債とは
FP2級の学習に使っていたテキストには載っておらず、数回分の過去問を解いている中でも1問しか出ませんでしたが、「新窓販」という単語がまったくの初見だったので強く印象に残りました。
昔扱っていた何かの仕組みか商品かと思って調べると、財務省のページに説明があり、今でも取り扱いがあります。
「新窓販」は「新型窓口販売方式」の略でしたが、経緯はFAQに書いてありました。
Q 「新型窓口販売方式」とはどのようなものですか。
A 従来の窓口販売には、民間金融機関の窓口販売方式と、郵便局の窓口販売方式の二つの方式がありました。
(...省略)
平成19年10月から導入された「新型窓口販売方式」は、この郵便局で行われてきた募集取扱方式から募集残額を引受ける義務を無くしたうえで、郵便局以外の民間金融機関にも拡大したものです。なお、「新型窓口販売方式」で販売される国債を「新窓販国債」と呼んでいます。
平成19年10月(2007年)の郵政民営化に伴い、郵便局と民間金融機関で国債の販売方式が一本化されてこの名称が使われています。20年近くたった今でも名称に「新」が入っていると違和感がありますね。
説明を読んでいると、新窓販国債で購入できる方が一般的な債券で、個人向け国債は安全に設計された商品ということでした。
個人向け国債と新窓販国債の違い
財務省のサイトで個人向け国債と新窓販国債両方を掲載している表があります。最新の利率を含む情報があり、わかりやすいです。
最も大きな違いは、個人向け国債は1年経過すればいつ売却しても元本割れはしない、という点でしょうか。新窓販国債は1年経過を待たずにいつでも売却できる一方で市場価格に依存し、元本割れのリスクがあります。
また、個人向け国債の金利は下限0.05%が保証されていますが、その分基準金利から一定割合低く設定されています。変動10年の場合は半年ごとに更新されますが、基準金利の0.66倍が適用されます。
個人向け国債は募集価格と額面金額が同一で100円であり表面利率で利回りを考えますが、新窓販国債の方は募集価格が100円を基準に上下していて、実質の利回りはその分を加味した応募者利回りで考えます。
募集価格と応募者利回り
上図の新窓販国債の第383回債(7月)10年満期を例に、実際に応募者利回りを計算してみます。
- 表面利率:2.7%(税引き後:2.151495%)
- 応募者利回り:2.678%(税引き後:2.130%)
- 募集価格:100円17銭
額面100万円分を購入した場合で考えると、購入費用は1,001,700円です。
表面利率は2.7%のため、毎年27,000円(半年13,500円)の利息が付き10年で270,000円となります。
満期時に1,000,000円戻ってくるため、10年で考えると1,001,700円の投資で268,300円(=利子270,000-償還差損1,700円)の利益となります。1年あたりは26,830円で、応募者利回りは以下の通り2.678%となります。
- 26,830/1,001,700=2.678%
※ 厳密には購入時期により満期まで10年より短くなる分の日割り計算もする必要があるかもしれませんが、上記の計算でも小数第3位までには影響なかったため省略しました
少し前の時期の数値を見てみると、募集価格が100円を切っていることもありました。その場合、応募者利回りは表面利率を上回ります。
商品別の利回り推移
個人向けと新窓販でそれぞれ3種類あり、合計で6種類の商品があります。
- 個人向け10年(変動)
- 個人向け5年
- 個人向け3年
- 新窓販10年
- 新窓販5年
- 新窓販2年
以下で月ごとの利回りが確認できます。
- 発行条件 : 財務省(個人向け国債)
- 新窓販国債発行条件 : 財務省
この情報を使って2023年以降の利率の推移をグラフにしてみました。毎月ではなく1,4,7,10月の値をベースにして、3か月単位で作成しています。
比較において税引き前の値を採用し、新窓販は表面利率ではなく応募者利回りでプロットしています。また、個人向け5年と新窓販5年はほぼ重複してグラフがみづらくなったため、上のグラフでは新窓販固定5年を除きました。
グラフからわかること
新窓販2年と個人向け3年
新窓販2年は2023年4月と7月のところは線がありませんが、対象ページを見ると「金利水準等を勘案し、募集を行わないこととしました。」とのことで販売されていませんでした。
同時期の個人向け3年は基準金利がマイナスになっていましたが、下限の0.05%保証により0.05%が設定されています。
個人向け3年よりも新窓販2年が上回っている時期がありました。例えば2025年4月は個人向け3年が0.780%、新窓販2年が0.825%でした。こういう時に新窓販2年を考慮する余地はあるように思います。
新窓販10年と個人向け10年(変動)
新窓販10年がこの2年ほどで大きく上がっていて、直近の2026年7月は2.678%です。
個人向け10年は変動型で半年ごとに基準金利の0.66倍が適用されるため、おおよその考え方では今後10年間の平均基準金利が4.06%(=2.678÷0.66)を下回れば新窓販10年の方が有利となります。
まだ利上げは続きそうですが、4%となるとどうでしょうか。個人向け国債は1年経過すれば元本割れの心配がないメリットがありますが、10年満期まで持つ前提なら新窓販も選択肢に入ると感じています。
新窓販5年と個人向け5年
新窓販5年と個人向け5年は似通っていたので個別に比較用のグラフを作りました。
以前は差があることがありましたが、ここ最近はほぼ差がなく個人向け5年の方が上回っているため、新窓販5年をあえて選ぶ理由はないと感じます。
おわりに
FPの問題で解いている利付債や割引債は身近に感じずあまりピンと来ていませんでしたが、新窓販は個人も購入でき募集価格によって応募者利回りも変化することから実感がわくようになりました。
自分の資産に債券を取り入れたのは2023年12月からで、新発の公社債が中心でした。個人向け国債を買ったのは2026年1月です。投資経験は長いですが、偏っていてまだまだ知らないことがあるとわかりました。
個人向け国債はシンプルになっていてわかりやすい分、状況によっては新窓販が使える場合もありそうです。
また、利回りの参考値にも使えると思っています。例えば、2026年7月の新窓販2年の応募者利回りは1.367%ですが、UI銀行の1年もの定期預金年1.50%キャンペーンはこの水準を上回ります。
債券と定期預金で異なりますが、新窓販2年より期間も短く有利と判断できたため、一部の安全資産の預入先に利用することにしました。
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