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図書館で予約していた「JUST KEEP BUYING」を借りることができ、先日読み終えました。
読んでみて、資産形成・経済的自立を扱う関連本とかなり重複していましたが、自分が知らなかった内容もそれなりにありました。
個人的に参考になった点も含めてまとめます。
概要
著者のニック・マジューリは投資顧問会社Ritholtz Wealth Managementの最高執行責任者兼データサイエンティストという肩書の方です。
原版は2022年4月、日本語訳は2023年6月に発売されています。
かなり売れているようなので図書館で借りられると思いますが、すぐに買って読みたい方はよろしければ以下からどうぞ。
420ページ・21章構成で、前半(1~9章)の「貯金力アップ編」と後半(10~21章)の「投資力アップ編」の2部構成になっています。
巻末に21個のルールが書かれていて、章ごとの結論が集約されています。本書で言いたいことは、この21ルールに集約されていて、一度全体を読んだ後は最後のルールを見返すと個々の内容が思い出せそうです。
全体の印象
タイトルの「JUST KEEP BUYING(ただ買い続けなさい)」は、あるYoutube動画を見て著者のモットーになったと書かれていますが、印象に残りやすいフレーズでFIREを考えている人や既に達成済みの人にとっても馴染みのある考え方です。
基本的には米国の状況にあわせた内容ですが、和訳版で加筆したのか「はじめに」では日本向けの内容が盛り込まれていたり、第17章「暴落時の投資法」では日本のバブル崩壊後の長期にわたる市場低迷についても言及されています。これらは米国発の類書とは異なる印象です。
前半の貯金力アップ編は、節約よりも収入を上げることを重視しています。類書では節約を強調していることが多かったため、本書の特徴とも言えます。
FIを目指すためには収入を上げるという点は実感していて、私自身転職をきっかけに収入が上がっていき、生活水準はそれほど変えなかったためにFIREを達成できたと思っています。貯蓄率を計算したことはありませんが、収入・支出の記録は残っているので今度計算してみる予定です。
後半の投資力アップ編は、インデックス型の投資を中心に、いつ・どのように投資すべきか、債券を分散資産としてどう活用するかなど、過去のデータから様々なシミュレーション結果とともに説明されています。このあたりはデータサイエンティストという肩書の通り、著者の得意分野という印象でした。一部理解が追い付きませんでしたが、シミュレーションの条件設定・比較方法・結果は参考になりました。
第12章の「個別株は買うな」では、アクティブ型や個別株は運(リスク)の要素が大きくインデックス型よりもパフォーマンスが劣るため手を出すべきではない、としています。資産形成が主目的の方にとっては適切な内容だと思います(私自身は投資先を選べる点が個別株の大きな魅力で、ある程度の分散によってリスクを減らした運用もできると考えて資産運用に取り入れています)。
参考になった箇所
個別に印象に残ったり、覚えておきたい部分を抜粋しつつ、自分の考えも書いてみます。
第4章「罪悪感なしでお金を使う方法」
お金の使い方をテーマにした章です。
お金を安心して使うための2つ目のアドバイスは、充実感が得られるお金の使い方を優先させることだ。維持的な楽しさではなく、いつまでも心を豊かにし続けてくれる充実感に目を向けるのだ。
...
- 体験を買う
- 自分のために(たまに)贅沢をする
- 時間を買う
- 前払いする(例:旅行費用の全額を前金で払う)
- 人のために使う
...
つまり重要なのは「何を買うかではなく、どんな基準で買うか」なのだ。
...
買物を正当化する理由を探すには、それが長続きする充実感につながるかどうかを考えるといい。
「DIE WITH ZERO」や「アート・オブ・スペンディングマネー」のテーマでもあるお金の使い方に関して書いています。「充実感が長続きするかという観点で判断する」のはありだなと思いました。
第13章「いつ投資すべきか?」
この章では「即一括投資」と「分割投資」を比較していて「ほとんどの場合、即一括投資の方が優れている」ことを示しています。
ただし「即一括投資」はリスクが高く、投資時期によっては株式市場が暴落した際に大きな影響を受ける可能性があります。
そのリスクを下げるために、米国債を取り入れつつ「即一括投資」することにより、分割投資と同等のリスクなまま分割投資のパフォーマンスを上回ることを示しています。例えば米国株60%・米国債40%の割合での算出結果が示されています。
この結論は「ほとんどの市場は、ほとんどの期間、上昇している」という真実が前提となっていて、このフレーズは本書を通じて複数回出てきます。
また、私は知りませんでしたが、現在の株価が割高かを判断する「CAPE」という指標が使われていました。
CAPEは「米国株から1ドルのリターンを得るために払わなければいけない金額」を示していて、この値が高くなると「即一括投資」と「分割投資」のパフォーマンス差が縮んでいく結果を示しています。
調べてみると、2026年8月のCAPE値は42付近(参考)でしたので、推移を見る限り現在はかなり割高の位置にいることになります。
ただ、割高の局面でも本書は「即一括投資」を支持しており、リスクを下げる場合は債券の割合を増やして調整することとしています。
私はFIRE後の現在も分割投資を続けていますが、資産形成期では即一括投資の考え方をもっと取り入れても良かったなと思います。ただ、少し前のトランプ関税ショック(2025年4月)の暴落時には短期間であったにも関わらず精神的に不安になりましたので、やはり債券などの安全資産とのバランス次第でしょうか。
第14章「安値を待つべきではない理由」
この章では「ドルコスト平均法」と「バイ・ザ・ディップ(相場の下落時のみに買う)」を比較していて、「ドルコスト平均法」の優位性を説明しています。
これが「JUST KEEP BUYING」の考えにもつながっていて、「底値を待って現金を貯めるのは意味がない」とし、結論として以下のように表現しています。
できるだけ早く、頻繁に投資すべき
前の章の即一括投資とあわせると、月々の余ったお金(=収入-支出)は貯金として貯めるのではなく投資に回していく、ことになります。
第17章「暴落時の投資法」
暴落は周期的に発生するため、恐れずに買いのチャンスと考えよう、としています。これは最終的には市場が回復するからであり、安くなった時に買っておくとそれがリターンとなるためです。
一方で日本のバブル崩壊後も事例として取り上げており、暴落前の最高値を更新するまでに30年以上かかっています。本書では例外の事象としており、ほとんどの市場はほとんどの期間、上昇していることに基づき、ベースの考えは変わらず暴落時には買うべきだと主張しています。
日本のバブル崩壊後の例でも長期的に投資を続けていれば、元本を上回る期間がわかるシミュレーション結果も示してはいます。結果を見てもバブル後の日本の状況はやはり厳しかったと感じますが、日本以外の市場にも投資していれば回避できるため、分散投資の重要さをあらためて感じる章でした。
第18章「いつ売ればいいのか?」
私を含め、FIREを考えている人にとって気になる章ではないでしょうか。本書では資産売却について以下のように主張しています。
投資資産を売却する際には様々な理由があるが、お勧めできるものは次の3つしかない。
- リバランスのため
- 集中投資(または損失)状態から抜け出すため
- 自分の経済的なニーズを満たすため
そして売るタイミングは投資の時(即一括投資)とは逆です。
ほとんどの市場は、ほとんどの期間上昇しているため、「できるだけ遅く売る」ことが最善策になる。
1のリバランスに関しては、リスクを減らすために実施するべきであり、最適な頻度についての理論的な答えはないものの年1回を推奨しています。
売却しないリバランスとして、買い増す割合を調整したリバランス方法についても言及していますが、私自身は現在この方法を取り入れています。
2は自社株などの保有により資産が偏っている場合を例にしていますが、その場合1度に売らずに分けて売るることが重要だとしています。
3はFIRE後の取り崩しにも関係してくると思い気になっていましたが、そういったテクニックの話ではなく「自分が生きたい人生を生きるため」に使えばよいという話でした。
「アート・オブ・スペンディングマネー」や「DIE WITH ZERO」のお金の使い方にも繋がる話で、この段階になると資産を増やしたり維持するのではなく、いかに幸福で満足できるようにお金を使っていくか、ということでした。
おわりに
全体を通して、本書では過去のデータから平均的にパフォーマンス(リターン)が良い方法・組合せを様々に比較して実証しています。
パフォーマンスの良い方法はリスクも増える傾向にあるため、債券を安全資産として組み込むことでリスクを減らしつつ、その割合をどの程度にするかという考え方を状況に応じて整理しています。
特に経済的自立に向けた資産形成の段階にある人にとって、資産運用を見直したり、改善をする際に本書は役立つと思います。
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