連日の不正アクセスの発表を受けて、株価にどのように反映されるか気になって調べています。
被害の内容や業種によって様々だとは思いますが、今回は「ふるさとチョイス」に焦点を当てて、少し深掘りしてみることにしました。
個別株銘柄に出てくる各指標や数字の意味など理解しておきたいこともあり、自分の勉強を兼ねた内容です。AIも活用しつつ、自分でチェック・整理した上で書いています。
対象選定の理由
先月下旬あたりから毎日のように不正アクセス被害の情報が届きますが、今回は「ふるさとチョイス」を調べることにしました。
個人的に8月から使い始めたばかりで被害対象になってしまった、という点もあるのですがふるさと納税のマーケットが比較的わかりやすく、競合他社の状況が気になったためです。
1つ覚えている事例として、約10年前にあるマーケットでシェア1位だった東証1部上場の会社で、情報流出のインシデントが発生しました。その後シェア1位から陥落していましたが、今どうなっているか確認したら昨年上場廃止になっていました。マーケットの規模と被害の大きさにもよりますが、インシデント1つで会社の未来が変わりうると感じた出来事です。
2026年時点ではふるさと納税のポータルサイトに様々なプレーヤーが参入していますが、以下の日経の記事によると「ふるさとチョイス」「ふるなび」「さとふる」「楽天ふるさと納税」を運営する4社でシェア9割を占める状況であるため、この4社の状況を見てみます。
各サービスとその運営会社もしくは上場している親会社に着目すると以下の通りです。
- ふるさとチョイス:トラストバンク・チェンジホールディングス(3962)
- ふるなび:アイモバイル(6535)
- さとふる:SBプレイヤーズ・ソフトバンク(9434)
- 楽天ふるさと納税:楽天グループ(4755)
特にアイモバイルはふるなびが事業の柱であり、ふるさとチョイスの親会社にあたるチェンジホールディングスとの比較対象として気になっています。
公式発表の時系列
ふるさとチョイス運営会社のトラストバンクによる発表は以下の通り進みました。
- 10/19:不正アクセスの疑いに伴うサービス一時停止のお知らせ(サービスを停止)
- 10/20: 不正アクセスによる寄附者様情報の外部流出に関するお詫びとお知らせ(情報流出の発表:4,454,097件、情報項目:氏名、メールアドレス、住所、電話番号、ハッシュ化されたパスワード、寄附控除試算額)
- 10/23:不正アクセスによる寄附者様情報の外部流出に関するお詫びとお知らせ(第2報)(1報に加えて5名はポイント履歴、寄付履歴、クレジットカード情報下4桁、名義、有効期限、生年月日の流出が判明)
- 10/26:不正アクセスによる寄附者様情報の外部流出に関するお詫びとお知らせ(第3報)(順次運用の再開)
- 10/28:不正アクセスによる寄附者様情報の外部流出に関するお詫びとお知らせ(第4報)(提携先サイトとの連携システムの再開)
最初のお知らせは報道されている記事で15:50とありますので、株式市場の取引終了後でした。
本件では一般的な個人情報に加えて「ハッシュ化されたパスワード」と「寄附控除試算額」の情報が含まれている点に特徴があります。
ふるさと納税のメインとして使っている場合、「寄附控除試算額」から年収がわかるので個人的には重要な情報と感じます。幸いにも私は数千円の寄付に利用しただけだったので、この点は問題ありませんでした。
10/19~28までの値動き
最初のお知らせがあった10/19(月)から10/28(水)までの期間について、4社の終値で表を作成しました。情報ソースは株探の時系列のデータです。
| サービス名 | ふるさとチョイス | ふるなび | さとふる | 楽天ふるさと納税 |
|---|---|---|---|---|
| 会社名(証券コード) | チェンジHD(3962) | アイモバイル(6535) | ソフトバンク(9434) | 楽天G(4755) |
| 10/19 | 1,036 | 499 | 246.3 | 639.7 |
| 10/20 | 985 | 495 | 247.2 | 635.7 |
| 10/21 | 924 | 495 | 246.6 | 646.5 |
| 10/22 | 910 | 484 | 246.6 | 637.7 |
| 10/23 | 922 | 485 | 237.4 | 634.5 |
| 10/26 | 915 | 478 | 237.4 | 635.1 |
| 10/27 | 917 | 470 | 233.3 | 614.9 |
| 10/28 | 912 | 457 | 230.7 | 617 |
また、10/19を基準にした騰落率でグラフにしました。
参考に日経平均も含めています。グラフからわかることは、チェンジホールディングスは第1報を受けて3日連続で下がり-12%以上の下落後、第2報が出た後は横ばいとなっています。
10/26までサービスは停止し続けていたにも関わらず、下落し続けないのは意外でした。競合他社についてもあまり影響を感じない結果でした。
ソフトバンクと楽天グループは事業が多角化していてふるさと納税事業は一部ということもあり、影響はそれほどないだろうとは思っていましたが、ふるなびのアイモバイル(6535)も株価は上がることなく下がっていて想定とは異なりました。
Geminiに見解を聞いてみましたが以下のような回答をしていました。
「情報セキュリティという極めて重い問題による業界全体の萎縮」と「アイモバイル自体の需給・信用残の重さ」が勝ち、結果として下押し圧力が勝った形と考えられます。」
信用取引の動き
株探では信用残のデータも利用できるため、こちらも確認してみました。
| 日付 | 信用売り残 | 信用買い残 | 信用倍率 |
|---|---|---|---|
| 10/19 | 72,700 | 1,177,000 | 16.19 |
| 10/20 | 70,500 | 1,149,100 | 16.30 |
| 10/21 | 90,400 | 1,206,900 | 13.35 |
| 10/22 | 102,100 | 1,191,600 | 11.67 |
| 10/23 | 108,000 | 1,181,100 | 10.94 |
| 10/26 | 113,900 | 1,227,500 | 10.78 |
| 10/27 | 124,000 | 1,212,700 | 9.78 |
競合の3社は特に関連する動きがなさそうでしたので、チェンジホールディングスの情報のみ載せています。
会社にとって悪い情報が出ると株価の下落とともに信用売りが増える、というイメージがありましたが、そう受け取れるような動きはしています。とはいっても信用買い残が増える日があったりして、信用倍率も10倍付近です。
AIに分析してもらっても良い点・悪い点の両方の解釈を出してきます。信用取引は手を出していませんが、この結果を見る限り自分はまだ試さなくても良いかなと思いました。
個人的な判断
本日10/28の発表も復旧に向けた内容で、現状は株価も横ばいになっています。このまま時間がたてば株価は元に戻っていくのでは、という印象を受けました。
今回は競合他社との関係もわかりやすかったこともあり気になって調べてみましたが、元々ふるさと納税というマーケットに投資する意向はありませんでした。
何か興味深いことがわかれば今後の売買判断に役立てるつもりでしたが、少なくとも何か発表が出たことをきっかけにして対象・関連企業の株を買わなくてもよいと思いました。ただ対象企業の株を保有していた場合に売るか、という点についてはまだ考える余地があります(これまで売らずに持ち続けている塩漬け株がそれなりにあるため...)。
原則としてはこれまで通り自分で企業のことを調べて、投資したいと思えたら株を買って中長期で保有する、というスタンスが向いていると感じています。
利用者としては義援金が寄付者・被災自治体ともに手数料なしだった点が大きかったのですが、ふるさとチョイスだけでなく他3社も同じく手数料なしと明記しているため、乗り換えも考えています。
この後に詳細が報告されるか、どのような対応がなされるか次第で今後も利用するかは判断したいと考えています。
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