地金商や証券会社の純金積立のサービス説明を見ていると、純金積立の売却益は「譲渡所得」になることが書かれています。
上場株式や投資信託のような特定口座の仕組みはなく、自分で課税計算して確定申告をしなければなりません。
これまで金・プラチナ・銀いずれも売却したことがなく確定申告に含める機会がなかったのですが、今後の値動き次第ではあり得るため抑えておくべきことを調べました。
複数のAIも活用しつつ調べたところ回答の方向性が同じで、株主優待やポイント(ポイ活)より迷うことはありませんでした。
疑問に思っていた点を中心に整理していきます。
基本は総合課税の譲渡所得
原則としての説明は国税庁のタックスアンサーに書かれています。
金地金を売ったときの所得は、原則、譲渡所得として、給与所得など他の所得と合わせて総合課税の対象となります。
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金地金の譲渡が営利を目的として継続的に行われている場合には、その実態に応じて事業所得または雑所得となります。
純金積立は(金だけでなくプラチナ・銀も含めて)、金地金(現物/インゴット)と同じ扱いであり総合課税の譲渡所得に分類されます。
ちなみに地金商の読みは「じがねしょう」、金地金の読みは「きんじがね」です(私は漢字だけ見た時は「じぎんしょう」と「きんじぎん」だと思ってました)。
営利目的では事業所得または雑所得になるとありますが、商売をしたりデイトレードのような売買をしていればそうみなされる可能性があるとのことです。
一般的な資産形成・運用の範疇では気にする必要はないと考えます。
金投資口座・金貯蓄口座とは?
タックスアンサー内のその後の記述で、見慣れない単語がでてきます。
なお、金投資口座や金貯蓄口座などからの利益は金地金の現物の譲渡とは異なり、実態は金融取引に近いことから、金融類似商品の収益として一律20.315パーセント(所得税および復興所得税15.315パーセント、地方税5パーセント)の税率による源泉分離課税となります。
「金投資口座」や「金貯蓄口座」の利益は源泉分離課税となると書かれています。純金積立はこれに該当するのでは?と一瞬焦りましたが、別のタックスアンサーにも関連の説明がありました。
源泉分離課税の対象となる金融類似商品の収益などは、次の6つです。
...
4 貴金属などの売戻し条件付売買の利益例えば、金投資口座の利益など
(注) 金定額購入システムにより取得した金地金を譲渡した場合には、総合課税の所得(事業所得もしくは雑所得または営利を目的として継続的に売買を行っていると認められない場合には譲渡所得)となります。
純金積立は上記の(注)に書かれている「金定額購入システム」になるため、総合課税の譲渡所得の扱いで問題ありませんでした。
「金投資口座」や「金貯蓄口座」が気になり調べましたが、現在扱っているサービスが全然出てきません。説明サイトばかりのため過去に扱われていたか、もしくは店頭のみや言い方を変えたサービス名になっているように思います。
「金投資口座」という表現から純金積立が該当し、実は源泉分離課税の対象なのではと不安になりましたが、明確な説明があり譲渡所得で考えてよいとのことで安心しました。
総合課税の譲渡所得の対象
純金積立(金地金)以外に総合課税の譲渡所得になるものとしては、確定申告書等作成コーナーに説明があります。
総合課税の譲渡所得は、金地金、宝石、書画、骨とう、競走馬、船舶、機械器具、車両、営業権、漁業権、配偶者居住権 ... 取引慣行のある借家権、ゴルフ会員権、特許権、著作権、鉱業権、土石(砂)、一定の公社債などの資産を譲渡することによって生ずる所得のことをいいます。
これらの資産がある方は富裕層という感じがしますね。私は縁遠いものばかりです。
金地金以外で対象となる資産を所有している方はそれぞれの売却タイミングを気にすべきですが、そうでなければ気にする必要はありません。
総合課税の譲渡所得の計算
FPの試験範囲にも含まれる内容ですが、総合課税の譲渡所得は以下の式で計算します。
譲渡所得の金額 = 譲渡価額 - (取得費 + 譲渡費用) - 50万円
式の中の50万円が特別控除の金額です。一時所得も特別控除は50万円でしたが、こちらは総合課税の特別控除です。
譲渡所得は長期と短期にわかれ、取得から売却までの所有期間が5年以内であれば短期譲渡所得、5年を超えると長期譲渡所得となります。
短期譲渡所得は上記で計算した全額が、長期譲渡所得はその1/2が総合課税の対象になります。
計算式内の用語が見慣れませんが、「譲渡価額」は「売却金額」、「取得費」は「購入金額と購入手数料」、「譲渡費用」は「経費と売却手数料」と言い換えて以下の式で考えて支障はないと思います。
- 譲渡所得 = 売却金額 - (購入金額 + 手数料 + 経費) - 50万円
手数料や経費も含めた上で売却益が50万円以下であれば譲渡所得は0で課税はありません。
確定申告の際には、課税が発生しない範囲で金・銀・プラチナを売却した場合でも、譲渡所得が0であることがわかるような情報を含めて申告しておくとわかりやすいかなと思います。
取得費と所有期間の考え方
先ほどの計算式は、1回の売買であれば簡単ですが積立の場合は事情が変わり、取得費(購入金額)と所有期間の扱いが複雑になります。
どのように扱うべきか調べましたが、国税庁のサイトに関連する照会と見解説明がありました。
金地金の譲渡による所得区分は、毎月の購入金額や売却状況等を勘案して、雑所得、事業所得又は譲渡所得となるところ、金定額購入システムの概要は、下記「事前照会に係る取引等の事実関係」のとおりであることから、次のとおり取り扱われるものと解して差し支えないか、ご照会します。
(1) 譲渡した金地金の所得区分が譲渡所得に該当する場合において、その所有期間は、所得税基本通達33-6の4の取扱いに準じ、預り口座において先に取得したものから順次譲渡したもの(先入先出法)により判定する。
(2) 譲渡した金地金の所得区分が雑所得又は譲渡所得に該当する場合において、雑所得又は譲渡所得の金額の計算に際して総収入金額から控除される必要経費又は取得費については、所得税法第48条第3項及び所得税法施行令第118条の規定に準じ、有価証券の評価方法である総平均法に準ずる方法により算出する。...
3 事前照会者の求める見解となることの理由
(1) 所有期間の判定について
金定額購入システムは、単価が変動する同一品質の金地金を一定額で毎日購入し、その同一品質のものの売却であるため、同一銘柄の有価証券を譲渡した場合の取得日の取扱いに準じて、先に取得したものから順次譲渡したものとして判定することは差し支えないものと考えます。
(2) 取得費等について
雑所得又は譲渡所得の金額の計算に際して総収入金額から控除される必要経費又は取得費については、原則として譲渡した資産の個別の取得価額によることとなりますが、金定額購入システムにより購入された金地金については、顧客別に管理されておらず、譲渡資産と取得資産が個別に対応していないため、個別の取得価額により必要経費又は取得費を計算することは困難です。
しかし、金定額購入システムについては、同一品質である金地金を一定額で毎日購入しているため、これを売却する場合には、2回以上にわたって取得した同一銘柄の有価証券と同様な性格を有するものと考えられますから、2回以上にわたって取得した同一銘柄の有価証券を譲渡した場合に準じて、総平均法に準ずる方法により算出することは差し支えないものと考えます。
文章の解釈に時間がかかりましたが(笑)、太字で示した通り所有期間は「先入先出法(FIFO)」、取得費は「総平均法」で考えて問題はない、としています。
具体的に計算してみようと思ったのですが、長くなってしまいましたので次回扱いたいと思います。
まとめ
今回確認した点をまとめると以下の通りです。
- 通常の資産運用で純金積立をしている限りは「総合課税の譲渡所得」
- 純金積立は「金投資口座」や「金貯蓄口座」とは関係なし
- 他に「総合課税の譲渡所得」の対象となる資産があれば売却タイミングに注意
- 純金積立の売却益が50万円以下であれば課税なし
- 取得費は総平均法、所有期間は先入先出法で考える
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